2013年 10月 20日
消毒器
その床屋さんには二十年間も世話になっていますが、殆どまともに話したことがありません。お喋り床屋が話に夢中になって兎の耳を切り落とす童話がありますが、その正反対が良いのです。
今日は実に珍しく、散髪が終わったところで、こちらから声を掛けました。
「左隅に見える陶器の文字は、毒器と読むのですか」
「はあ」
それは、二十年前から気になっていたものです。腰を上げ近寄って見れば、毒器の左に一文字隠れていました。
「消毒器でしたね」
「はあ」
二十年 経って分かった こともある