2013年 04月 07日
いつもの床屋
「いつもと同じで」
「ええ」
その床屋さん、一ヶ月前には店のシャッターが下り、そこに貼り紙がしてあった。
『都合により、本日はお休みします』
以降、何度も足を運んだが、その度にシャッターは下りたままである。
止むを得ず、他の床屋さんに整髪して貰ったものの、いつもの床屋さんのことが気に掛かり、その前を通る度にシャッターの上がっていることを心待ちにしていた。
その日がついに来て、二ヶ月振りにいつもの席に座る。
「いつもと同じで」
「ええ」
「実は入院していまして」
「そうでしたか」
以降、いつもと同じく無口になった。
そば屋でね 昼間の麦酒 花見です