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白髪の旅ガラス

取り残された柿

 北風の吹く中、枝先に輝く柿がある。それが一つや二つなら持主の小鳥達への心遣いと分かるが、殆ど収穫された跡がない。

 そのまま小鳥の腹を満たして余った柿は、枝先で熟して落下する。渋柿しか実らない田舎で育った者には、勿体無くて仕方がない。

 柿の木の持主が傍に見えれば、少し分けてくださいと声も掛けようが、そんな幸運は滅多にないから諦めて通り過ぎる。

 そんな時に限って、家人が柿を買って帰るから不思議なものだ。渋柿を甘くしたもの、最初から甘いもの、どちらも旨い。さて、あの枝先の柿は、どちらであったろうか。

 渋柿よ 少し我慢で 干柿に
by tabigarasu-iso | 2012-12-08 12:08 | 随筆 | Comments(0)