2011年 08月 05日
クマ蝉軍団
「見たこと、ありますか」
「いいえ、初めてです」
「写真に納めませんか」
「そうですね」
至近距離で静止している蝉の軍団に恐れをなして、カメラを持つ手先が震えている。
「大丈夫、攻撃して来ませんから」
「そうですよね」
そう言いながら、半ば信用していないことが引いた腰で判った。
「やられました」
大きな体格のクマゼミは、飛び立つ際に放尿する。それは、軍団になるとかなり威力を増した。
「そうですね」
「先程の説明は」
今更、弁解は惨めである。濡れた額をハンカチで拭きながら、笑って頭を下げた。
油蝉 クマに混ざりて 知らん顔