2011年 01月 09日
名物とろろそば
「いらっしゃい」
「あの、ここの名物を御願いします」
「とろろそばですね」
「ええ、それを」
出された茶をゆっくり啜るが、先客のテーブルも空である。自分のそばが出来上がるまで、未だ時間が掛かりそうだ。電池の切れ掛かったパソコンを取り出し、店の人に許可を得てから、小さな一人用のテーブルでスイッチを入れる。
元気を取り戻したパソコンは、通信回線へのアクセスも早い。昨夜から昼までのメールとブログを確認した。前者には迷惑なものばかりで呆れる。後者を開けば、更新などしていないのに意外なアクセス数があった。
「何故だろう」
画面に夢中の男に、女が遠慮しながら声を掛ける。
「お待たせしました」
「はあ」
独り言に照れた男は、パソコンを閉じ、名物のとろろそばを口にした。とろろの粘りも軟らかめで、そばとの絡み具合が良い。名物らしく、高い値ではあったが、味には見合うものであった。
もう一度 寄ってみようか 駅の傍