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白髪の旅ガラス

憩いのメロディー

 何十年と変わらないメロディーが昼の同じ時刻になるとラジオから流れて聞こえる。自分が今何歳で聞いているのか時々忘れてしまう。

 リクエストの歌が何曲か放送され、ラジオを聴く人から寄せられた便りが何通か読まれた。その間、昼の憩いのメロディーは流れ続ける。

 何十年と変わらない調べの中で読まれる便りは、今の時代を話題にしたものであっても、昔どこかで聞いた覚えがあるような気持ちになるのも不思議なことだ。

 想い出に耽っていても腹は空く。腹の鳴る音で現実に戻される頃、昼の憩いは十分の放送を終えた。

 僅か数分に人生の縮図を蘇らせてくれるのも、変わらぬメロディーの所為であろう。その息の長さに、次郎は聴き終えほっとする。
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空き腹を 堪えて綴る 昼日中
by tabigarasu-iso | 2010-11-06 13:01 | 小説 | Comments(0)