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白髪の旅ガラス

おしめり

 猛暑が続けば大地は乾き、人の手で植えられた野菜や植木は、水分を吸収する力が弱く今にも涸れそうです。毎朝毎晩、水道の蛇口を捻って水を撒いても、一日の成長に必要な水分の確保は難しく、命を繋ぐのが精一杯ですから、天を仰いで大地を潤す雨を待つしかありません。

 そんな中、台風の接近に伴う雨が久し振りに降り、幾らか植物も元気を取り戻したようです。
「いいあんばいだね」
「まったくだ」
 庭木を大切に育てる大人の会話が聞こえてきました。

 そんな会話の一方で、幼い子の元気な歌声が聞こえてきます。
「くもさん♪ くもさん♪ なかないで♪」
 雨が降ればプールに入れない子の願いですから、天も言うことを聞かない訳にはいかないでしょう。

 朝方降った雨は早々に止み、照りつける太陽の光で、路面は瞬く間に乾いてしまいました。こう短時間のお湿りでは、道路脇の植え込みも長い日照りで色の褪せたまま、元気を取り戻すまでには至りません。
『もう少しの水分、それに水を貯め込む土壌も欲しいもんだ』
 そんな呟きが聞こえそうです。

盆前の 雨を頼むと 子が泣いて
by tabigarasu-iso | 2010-08-11 00:55 | 随筆 | Comments(0)