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白髪の旅ガラス

講師のレベルアップ

 講義には、必ず目的があります。それを、講義の冒頭で受講生に伝えなくてはなりません。さもなければ、講義の終わった時点で、目的の達成が出来たか否か判断することが出来ないでしょう。

「今回の講義は、定めた基準を理解し、それが現場で実践されているか、皆さんが確認する手法に関し演習を通じて習得して貰うこと、また基準と現場とのギャップを発見した場合、それを埋める手法も併せて理解して貰います」

 こうして、講義の目的は全員に笑顔で理解されましたが、説明を終え演習が進むに連れて、一部の受講生の顔色が雲って行きます。それは、目標の達成手段と担当者及び時期に関する説明を終えた後のことでした。

 聞く分には理解できた内容も、いざ自分の意見を述べる段階では思うように言葉が浮かばない受講生が現れ、講師は具体的な助言に入ります。

「失礼ながら、貴方は回答として理想的な言葉を選ぼうとしていますね。例えば、営業目標を達成出来ない部下を前にして、貴方は目標の未達成を叱るだけですか。それでは、部下の方は萎縮するだけで解決にはなりませんね。どうしたら営業先を見付けることができるか、見付けた先へ何をどのように提案したら良いのか、部下の方が悩むギャップ解消の指導そのものが、貴方に期待する回答です」

 その受講生は、良く判りましたと実践に基づく自分の意見を述べてくれました。その内容は、周囲の受講生を唸らせるものです。それに気を良くした講師は、仕上げにテスト問題を配り、心躍らせて採点したのですが、その受講生の回答用紙だけは白紙でした。

 その時、講師は己の力量の無さを深く反省したのです。考え方の説明や演習に力点を置いたのは間違いではありませんが、自分の考えを他人に伝える文章の書き方まで講義の中に盛り込み、演習にも加えるべきでした。次の機会には、その力量も備えた講義を期待したいものです。

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雨上がり 殻脱ぐ蝉も 羽根を干し
by tabigarasu-iso | 2010-07-31 00:14 | セミナーサービス | Comments(0)