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白髪の旅ガラス

CSRⅡ

 企業の社会的責任をCSRと多くの人が口にするようになりましたが、はるか昔の江戸時代において、既にその思想はあったようです。商人は、己のみ儲ける商売の非を悟り、商いのあるべき姿を、客と商い関係者の満足を得ることと位置付けたのでした。それから三百年余りの時を経て、世界の人にCSRが注目されるようになったのは、日米をはじめとする有力な企業の不祥事と情報技術の発展が契機のようです。

 CSRの導入は、企業が経済、社会、環境の三つの視点から事業活動を行い、広く利害関係者の満足を得るものですから、多くの企業が参画することを願って止みません。けれど、何のための企業の社会的責任なのか、いまひとつ方向性が判らず悶々としていたところ、つい最近になり、それを解決してくれる素敵なCSRの入門書に出会いました。

 生物の多様性と生態系の保護を、CSRの目的と言い切る書籍に出会ったのは初めてのことです。その意見は、企業に環境マネジメントシステムの導入支援を生業とする者として、何度もセミナー等で口にしているものですが、支援の実務に入り相手の顔を見れば、エネルギーや資源の削減それに廃棄物の削減に追われ、利害関係者の要望までは配慮してみるものの、物言わぬ動植物まで考慮した環境保全を支援するまで至らないのが実情です。排水に関して言うならば、法律で定めた水質基準を満たすだけでなく、川蝉が棲める水質に戻して排水するのが企業の社会的責任でしょうが、そこまで排水処理を実施することを理想に語れても、実施の提案となると難しいものがありました。

 こうした中、動植物の多様性があって、その一部である人間も持続することができ、これを実現するのがCSRの目的と熱く語る著者に深く共鳴したのです。斯様に他人の心を打つ同志と一緒に行動が取れたら、究極のCSRを実現できる企業になるのではないでしょうか。


感動も 熱い間に 打つが良い 
by tabigarasu-iso | 2010-02-11 21:38 | 随筆 | Comments(0)