2010年 01月 15日
心通わせて
新幹線の改札前で携帯電話を取り出し静岡駅までの予約を入れれば、専用カードを改札の上にかざすだけで誰の手も借りず発車間際の新幹線に。これまで駅員の顔を一度も見ることがありませんから、さぞかし人件費の削減になっていることでしょう。
こちらも切符手配に掛かる煩わしさもなく、ポイントを貯めればグリーン車が普通料金で利用できる特典が付き、双方に取り実に結構な仕組みですが、どこか淋しいものがあります。カタカタと改札鋏を鳴らしながら、せわしく切符を切りながら礼を言う、あの駅員の姿が改札口から消えて久しいからでしょうか。
静岡駅までおよそ一時間余りの乗車時間ですから、麦酒を飲んで過ごすかパソコンを開くか悩みました。いずれにしても、静岡駅に着く頃には夕飯時になります。そのメニューを「とろろ飯」と決めて、パソコンを開き数行入力した時のことでした。右前の通路側の席から缶麦酒が倒れ落ち、勢い良く泡を吹き出したのです。
鞄を肩に掛けた乗客が通りすがりに引っ掛けて落としたようで、詫びを言うものの新しい缶麦酒を弁償するとは聞こえません。晩酌を中座された方の肩が気落ちして、心なしか悲しそうに震えています。せめて、弁償しますから勘弁してくださいと言って欲しい場面でありました。
こぼされた 麦酒をネタに 物語る