2009年 11月 15日
蘇る長老犬
犬の寿命が延びても最後の日まで健康とは限らない。晩年になれば、視力も衰え後脚は弱り散歩も自力では難しくなる。間もなく19歳を迎える愛犬の歩みに合わせ、疲れて倒れそうになれば手を添え、弱った脚の筋肉を揉み解す。散歩途中の犬の脚を飼い主が揉む光景は、通りすがりの人から見れば奇妙に映ることであろう。
それでも散歩を終えて土で汚れた脚を洗う際には、鏡に映る犬の顔が笑っているようだ。
「世話を掛けて済まないね」
そんな風に思えるのは、老いた母を田舎の兄弟に任せ、普段の世話ができない子供の慰めかも知れない。
そんな長老犬だが、時として見違えるように元気を取り戻すことがある。人の手を借りず自力で散歩を終え、食餌も最後まで腰を下ろさない。脳内の何処かに詰まった血栓が外れ、元気な頃に戻ったようであり、不思議な蘇り方である。だが、それが長続きしないのが残念だ。
老犬の 伸びた胸毛に 賢者みて