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白髪の旅ガラス

青春の路線

 西武池袋線は、青春時代を蘇らせる想い出の路線です。中でも石神井公園駅は、人生の岐路を決定した駅でしたから、45年経った今、当時を想い出そうと懸命に見詰めましたが、人の息で車窓は曇り何も見えない。


 当時、駅の隣にある手荷物集配所でアルバイトをした時のこと、何となく気の合う先輩に夕飯を馳走になったことがあります。確か、その方は大学を中退し、身重な奥さんを抱えていました。想い出すのは、大きなハマグリが入った椀です。


 将来を語る先輩の目は輝き、それを見詰める奥さんの顔も幸せそうでした。それこそ、お金はなくても幸せな若い二人に、自分は将来を決心したものです。


 その時、連絡先も聞かずに別れてしまったこと、未だに残念でなりません。無事に人生を重ねていれば、既に70歳の頃。車窓には、見えない景色の替わりに、白髪の爺様が遠い過去を見詰める姿が映っています。


足元の 冷えが気になる 洋室か

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-23 15:00 | 随筆 | Comments(1)

小雪

 雪がちらつき冷え込む頃、エアコンの熱風を頭に受けて顔は火照るものの、足元は寒く膝の震える複雑な体調で臨む環境ISOの審査は、大きな不適合もなく初日を終えました。


 それでも、環境ISOの仕組みは継続的な改善が狙いですから、改善の機会を幾つか用意して終了会議の前に提示する予定です。それは、環境ISO:2015移行に伴い追加されたもので、内外の課題から決定されたリスク及び機会の関連するもの。


どの課題から決定されたリスク及び機会なのか、両者の関連が不明であり、そのことに関係者が気付かない点です。また、文書化を求める要求に対し、説明出来れば良いと勘違いしている点でした。


確かに、環境ISO:2015は手順の要求はなく、プロセスが要求されています。プロセスは文書化しなくても良く、説明が出来れば問題はありませんが、リスク及び機会は文書化が要求されており、幾ら主張しても残念ながら要求を満たさない。


こんな遣り取り、小雪を肌で感じる会議室で展開すれば、心は熱く燃え上がるものの、指摘を受けた担当者は、小雪ではなく小説であって欲しいと願ったことでしょう。


小雪を コユキと読んで 知らん顔

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-22 07:30 | ISOマネジメント | Comments(0)

 環境ISOの環境方針には、環境保護のコミットメントが要求されています。

「何、環境の保全に努めるとすれば良いのでは」

「環境保護と環境保全は一字違いですから、私もそれで良いと思います」

「いいえ。それは良く調べてから結論を出した方が良いと思いますが」


 さて、環境保護と環境保全の違いはあるのか辞書で調べてみました。環境保護は「protect」とあり、環境保全は「maintenance」で、英文にしてみると明らかな違いが判ります。


環境ISOは英文の要求事項と和文の要求事項があり、原文は英文ですから、そちらの意味を調べてみれば、「protect」は、過去に遡って元に復帰、現状回復、滅亡予防などの意味があり、「maintenance」は、ある基準を維持するとあり、両者の差は大きなものでした。


後日、両者の違いを指摘した事務局は、社長に伝えます。

「環境方針には環境保護のコミットメントを入れ、具体的に何を行うのか明記する必要があります」

「そうか。なら、わが社で出来る具体的な環境保護に何が考えられる」

「再生可能エネルギーの利用、生物多様性の保護、気候変動の緩和などですが」

「ふむ、どれも難しいが、絶滅危惧種を守る活動に関して、わが社が出来ること、明日までに調査するように」


一文字の 違いの判る 人になり

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-21 19:30 | ISOマネジメント | Comments(0)

囲炉裏

 地元の人に紹介され飛び込んだソバ屋には、炭の替わりに白い玉石が敷き詰められ、その真中に鉄瓶の置かれた囲炉裏がありました。


 手をかざしても暖まる訳などありませんが、心に温もりを感じるのは遠い昔の記憶が蘇る所為でしょうか。つい、店の方に許しを請い、写真を撮らせて貰います。


 その昔、玄関を跨ぎ土間に入れば、大黒柱の前に座った祖父が囲炉裏に大きな手をかざし、寒さに震える孫の小さな手を暖めた両手で包んでくれたものでした。


 そればかりか、話の続きをせがむ孫のリクエストに応え、一心太助の物語を読んでくれます。時折、薪の怒る声が聞こえ、邪魔するなと睨めば、薪も黙ってくれました。


そんな光景が、囲炉裏を見る度に次々と浮かびます。暖を取り、煮炊きを賄い、会話の場を作る囲炉裏の価値は、エアコン世代には少しも判らないことでしょう。


囲炉裏端 沢庵皿に 酒交わす

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-20 12:30 | 随筆 | Comments(0)

秋のカマキリ

 午後一番に

歩道通過の

私を見付け

 胴体つまみ

 くさむらへ

 

運ぶ人の恩

来年返すと

言ったよな

大きな鎌を

振り上げて


棲むならば 庭に来なよと カマキリに

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-19 22:00 | | Comments(0)

福島駅前のソバ屋

 こう寒くなれば、温かいソバを掻き込みたくなります。

「何になさりますか」

「おすすめは」

「新ソバはいかがですか」

「それは良い」

「冷たいソバが美味しく」

「待ってください」


 少し考えてから、女将さんに答えました。

「温かい鰊ソバ、お願いします。それに熱燗も」

「はい」

 なら、おすすめなど聞かなければ良いとは言いませんでしたが、微笑んで旦那に注文を伝えます。


 運ばれて来た徳利の可愛いこと、酒が口からこぼれそうでしたから、一滴もこぼさないように神経を使って注ぎました。

「辛口ですね」

「・・・」

 酒を飲まない仲間は、味が分かりませんと笑っています。


 本命の鰊ソバは、徳利の酒が空になる少し前に登場しました。ソバは細く、汁は透明で、鰊の青さがやや気に掛かる。それを一口齧り、味を確かめます。

「うん」

 一人納得してからソバに箸を移し、汁を飲みました。全てを食べつくし、汁も飲み干す。福島駅前のソバ屋は、記憶に残る味でした。


暖房に 喉を干されて 目が覚める

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-17 13:00 | 随筆 | Comments(0)

 ISO14001:2015は、ISO14001:2004に比べ大幅な変更がありました。管理対象は、従来通りの環境影響の原因になるもので、環境側面に変わりはありませんが、新たに追加された要求事項である「内外の課題」や「リスク及び機会の決定」などを考慮する点など、環境ISO事務局は理解しているものの、現場への浸透が十分ではないようです。


 これらを含むISO14001:2015移行審査における気付き事項を紹介しましょう。

4.1内外の課題;決定された内外の課題が抽象的で具体性に欠け、現場の課題として認識されていない。

4.2利害関係者との約束;順守が当然の法規制と利害関係者と約束した内容が混在し、何が利害関係者との約束か分からない。

4.3適用範囲;内外の課題や利害関係者との約束が考慮されていない。

4.4EMSEMSの運用に内外の課題と利害関係者との約束の知識が考慮されている説明は難しい。

5.1リーダーシップ;事業プロセスとEMS要求事項の統合とは何か理解されていない。(本業にEMSの要求を組み込むこと)

5.2環境方針;組織の目的に適切な環境方針であるとは何か理解されていない。

6.1.1リスク及び機会の決定;リスク及び機会は決定されているものの、環境目標や運用に展開するか、他の仕組みで展開するものと理解されていない。

6.1.4取り組み計画;著しい環境側面、順守義務、リスク及び機会をEMSの何処で取り扱うか、EMS外で取り扱うか、財務や運用などの状況より経営層が判断する要求だと知らない。

・運用の計画;著しい環境側面の運用だけで良いと勘違いしている。リスク及び機会、順守義務、環境目標まで、どう取り組むのか、設備、人、手順、監視の視点で説明出来ない。


 移行審査で上記の状況を発見したなら、規格要求事項の説明が不可欠です。その上で、何処が改善の機会になるのか、審査員はコンサルにならない内容を提案しなければなりません。


審査を受ける際、コンサル的な説明が可能な審査員の派遣を審査機関に要求しましょう。さもなければ、駄目出しだけで終わる耐え難いISO14001:2015移行審査になりますね。


北風に 追われて入る ソバ屋かな

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-16 21:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

さあ福島へ

 環境ISOの審査で初めて福島を訪れたのは、大地震で津波が発生し、多くの方が亡くなった年の秋口でした。いつもとは異なる状況を肌で感じ、審査を始める前に犠牲になった方へ黙祷してから、懸命に審査することを誓ったものです。


 あれから6年が経ち、再び審査で福島へ向かうにあたり、当時のことが鮮明に蘇りました。ホテルから審査先に向かう波打った道路の歪み、空き地にうず高く積み上げられた瓦礫、家屋の基礎だけ残った海辺の近く、今はどうなっていることでしょう。


 壊れた物は建て直し、瓦礫は処分されていることでしょうが、道路の歪みは元に戻すのは難しく、それでも機械の力を借りたなら何とかなります。けれど、失われた命は元には戻らず、姿を変えて人の心の中で生きるしかありません。


 さあ、審査を始めるにあたり、どう切り出したら良いものでしょうか。過去を胸に秘め、今を生き、将来に夢を託す相手に対し、黙祷は行いません。それより、課題を聞き出し、それを解決する気付き審査に集中したいと思います。


紅葉は 綺麗だろうと 闇見詰め


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# by tabigarasu-iso | 2017-11-15 22:30 | 随筆 | Comments(0)

審査の効率アップ

 環境ISO導入の組織は、組織の目的に適切な環境方針を定め、その実現に向け、内外の課題の決定、利害関係者との約束の決定、著しい環境側面の決定、順守義務の決定、リスク及び機会の決定、環境目標の確立、運用、監視、内部監査、それにマネジメントレビューを経てシステム改善の運びとなります。システムを審査する場合、効率良く審査を行うには、どうしたら良いでしょうか。予め必要な資料を入手し、審査当日は文書化されていないプロセスの検証に時間を割く方法があります。


審査する側は、内外の課題から環境目標や運用まで一貫するキーワードを探し、例えば、設備の老朽化が内部の課題にある場合、設備の老朽化に伴う環境側面の決定を確認し、関連する順守義務の決定を確認し、リスク及び機会の決定の対象か確認し、環境目標に展開されているか確認し、監視されているか確認し、内部監査の対象になっているか確認し、マネジメントレビューの見直し情報に含まれているのか確認すれば、どこに改善の機会があるのか、1時間もあれば確認することが可能でしょう。


同じ切り口で、他の部門の審査も行えば、部門の数だけ課題がある筈ですから、部門毎に短時間で良い点と改善点が明らかになります。しかしながら、部門毎に課題が明確でない場合や部門固有の環境目標がない場合、そこから先の検証は出来ず審査は打ち止めになりますから、審査を受ける側は、規格要求を正しく理解しなくてはなりません。


規格は、無理なことは何一つ要求していないのです。業務に関する課題、課題を解決した場合の機会や環境影響は何か、業務に密着した環境目標は何か等、業務そのものの説明を要求しているだけですから、業務内容を審査時に説明し、関連する文書を提示すれば良く、審査の効率アップには欠かせません。


枯葉散る 窓の下には 夕暮れが

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-14 20:30 | ISOマネジメント | Comments(0)

 環境ISO規格では、システムを文書化した環境マネジメントマニュルの要求はありません。「環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するため、規格の要求事項に従って必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善しなければならない」とあるだけです。


文書審査を行う場合、環境ISO規格で定める文書化した情報が規格要求を満たすか否か検証するだけに留まり、他は要求事項に従ったプロセスとそれらの相互作用を確認する状況検証の審査が中心になることでしょう。


要求される文書化した情報は、適用範囲、環境方針、リスク及び機会、環境側面と環境影響、順守義務、環境目標、力量の証拠、コミュニケーション、運用、緊急事態、監視、順守評価、監査結果、マネジメントレビュー結果、不適合処置及び組織が決定した文書だけです。


文書審査では、要求される文書の全てを検証しますが、それぞれ検証の要点がありますから、それを紹介しましょう。

 適用範囲;管理出来る環境側面と影響を及ぼせる環境側面が含まれているか

 環境方針;組織の目的に適切な方針か

 リスク及び機会;組織の目的に対して外れる脅威、機会を捉えているか

 環境側面;ライフサイクルの視点から重点管理する環境側面を決定しているか

 順守義務;環境側面と法規制の要求事項を整合させているか

 環境目標;業務目標と連動させているか

 力量の証拠;何を目的にする力量か

 コミュニケーション;処理の適切性

 運用;何を運用管理するのか明確か

 緊急事態;準備と対応の有効性

 監視;目標や基準から外れた場合の処置

 順守評価;評価の仕組みと証拠

 監査結果;監査の適切性と有効性

 マネジメントレビュー結果;システム改善への具体的な言及

 不適合処置;真の原因究明


 文書審査で見受ける弱点は、適用範囲に影響を及ぼせる範囲が欠落していること、環境方針に組織の目的が不明なこと、リスク及び機会は決定しているもの環境目標に考慮していないこと、力量を法的資格に限定していること、運用管理を著しい環境側面に限定していること、緊急事態の計画の有効性まで検証していないこと、監視で改善の機会を発見していないこと、順守評価者が実務者でなく最新の法規制情報に疎いこと、監査結果がシステムの改善まで言及していないこと、マネジメントレビュー結果に具体性がないこと、不適合処置が応急処置で終わっていることなどです。これらの点を改善して頂ければ、発展し続ける組織になり得ることでしょう。


底冷えに 欅も覚悟 葉を落とし

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# by tabigarasu-iso | 2017-11-13 09:00 | ISOマネジメント | Comments(0)